今日もミツバチがボリジの蜜を吸いにやってきたけど、いつもよりいない時間の方が多い。
午後になって「今日はもう現れないのかな」と思っていると、ふっと飛んできてクリーピングタイムの上に着地しました。
いったいどうしたのかと見ていると、そこから動けない様子。少し羽ばたくけど、また同じところに着地してしまいます。
すぐに「この子は寿命を迎えようとしているのだ・・・」と思いました。
葉っぱに乗せてみました。もう羽根がボロボロです。いつも後ろ足についている花粉玉も今日はついていません。
ミツバチの一生
働き蜂は、約1ヶ月の寿命の中で加齢によって仕事が変わっていくので、「日齢分業」とも呼ばれます。
羽化してすぐは巣の掃除、数日すると育児を行い、1週間ほどで巣作りや門番をします。
羽化してから3週間ほどでようやく外勤に移り、蜜や花粉の収集に当ります。
外勤に従事する期間は10日ほどで、これを最後に寿命を終えます。
よく「ミツバチは高度な分業社会を構成している」という話を聞きますが、ずっと同じ仕事をしているわけではないんですね。
花から花へと飛びまわって蜜や花粉を集めているミツバチは、人生最後の10日間だけの役割を果たしている存在というわけです。
(それにしても、どうしてもうすぐ死ぬお婆さんに外勤をさせるのでしょうね。順番を逆にして、年をとったら内勤にして子守をさせておけばいいのにと思います。でも、こういうシステムが定着したからには、ちゃんとした理由があるのでしょうね)
最初にミツバチがボリジの蜜を吸っているのをカメラに収めたのが5月25日。そこから今日は15日目ということになります。同じ個体だと仮定するならば、10日以上生きたことになります。
よく頑張ったね。よく毎日うちに来てくれました。
ありがとう・・・お疲れ様だったね。と声をかけながら、イングリッシュデージーの花の上に乗せてあげました。
うまく飛べなくて花に乗れなかったからでしょうか、ずいぶん長いこと蜜を吸っていました。
ボロボロになった羽根が激闘の15日間を物語っています。
次にボリジの上に移してあげました。元気だった頃は”しべ”の三角錐のまわりをくるくる回って吸っていたのに、やっとつかまっているという感じです。
でも、そのうちぶら下がることも難しくなってきました。
土の上に落ちてしまったので、ボリジの花を置いてあげたら、上に乗って蜜を吸い始めました。
初めてこの子に出会って、働き蜂の寿命がわずか1ヶ月と知って、最後のときは手のひらに載せて見送りたいと思っていました。
それが通じたのでしょうか。最後に私の庭に来てくれました。
この子の一生はこれで終わりだけど、でも一生懸命役割を果たしての終焉です。
命の尊さは長い・短いでは計れません。ミツバチが絶滅したら人間も滅びると言われているほど、ミツバチが自然界で果たす役割はとても大きいのです。その自然界を支える一員として頑張ったこの子は本当に偉い。その命の尊さに、色々と考えさせられるお別れでした。